急にタメ口になる、大狼…君。
その目は何かを訴えているように見えた。
「ど、どうぞ…?」
「何で疑問系なんだよー?」
そう言って笑う時に見える白い歯。
微かに揺れる髪の毛。
パタパタとするワイシャツ。
「あ、今日って満月なんだ?」
「そう……みたいですね」
なんとなく苦笑い。
「ていうか、菜美も普通に話そ?」
「あ、はい……じゃなくて、うん!」
そんな私を見てハハッと笑う。
すっごい笑うなぁ。
話題がずれた事に少しだけホッとした。
……なんで?
きゅるるる~…
「あ、大狼君…お腹空いたの?」
「聞こえちゃった?」
“うちでご飯食べてく?”
なんてなぁ……。
「良かったら、今日一緒に食べない?」
「え?」
「なんか、近所だから仲良くなりたいなって!」
「……あ、私今から作るから……上がる?」
「も、もちろんっ!」
言った後で、なんて事を言ってしまったんだ
ってかすかに後悔したけど、
キラキラした目で答えられたから、受け入れたくなってしまう。
………そのとき、なんとなく嫌な予感は……
…………しなかったわけじゃない。