【菜美side】
あれ……。
保健室の天井が見える。
さっき、倒れそうになったんじゃなかったっけ?
真っ暗になったよね……?
もしかして、夢?
さっきの、全部全部、夢なの?
『早く治せよ……。』
そう言った大狼君の声が聞こえたはずなのに。
まさか、まさか。
好きすぎて……そんな夢まで……?!
あぁ……、恋ってすごいなぁ……。
むしろ怖いぐらいだよ…。
でも、何で私は保健室にいるの……?
来た覚えなんか、無いのに……。
なんでだっけ……。
体を伸ばしてみると、首もとがヒヤっとする。
……保冷剤…?
あれ、何かがベッドの下に落ちた…。
ベッドの下に落ちた物は、びしょびしょに濡れたタオル。
誰が………。
上半身だけ起こしてみると、ベッドの足元に、誰かが座ってる。
……え。
「あの……っ」
頑張って手を伸ばして肩を叩いた。
「……………ん……まだ……寝たい……」
私に背を向けて座ってる。
座りながら寝てたの?!
すごいなぁ……。
じゃなくて!
多分、この人が看病してくれたのか……。
ありがとうございます……。
「うぇっ?!」
いきなり大きめの声がする。
看病してくれた人が起きたのかな……?
「な、菜美!頭痛くないか?!」
その人はいきなり近づいてきて私に聞いた。
あ、この声……
「お……大狼君……!」
「大丈夫か?だるくないか?」
ものすごく心配そうに見てくる。
じゃあ……早く治せよって……
夢じゃない?!