ものすごい暑さで我に返る。
肌が、燃えるぐらいだ。
体冷やすか………。
水道へ足を向かわせる。
水道には、人影がある。
水が出しっぱなしのような音。
誰だ……?
そこには、菜美がジャグに水をためていた。
菜美に声をかけようとした時、
フラッと、菜美が後ろへ倒れていく。
なんとか菜美を支えられたらけど……
菜美は、汗がすごくて、顔が赤い。
息も荒くて、苦しそうだ。
目はつぶっていて、意識がなさそうだ。
……とりあえず、保健室に連れてくか。
菜美をひょいっとおんぶした。
あ、でも見られたら、呼び出しされるのか?
でも、今はそんな事気にしてられない。
辛そうなのに、放っておくのは……。
生徒たちがいつもは使わないような道を通って保健室へ向かう。
「失礼します、1年3組のー……」
ガラッとドアを開けて入ってみるけど、先生はいないし、誰1人いない。
まだ、菜美は気がつきそうにない。
結構……重傷なのか…?
よっこいしょ、という声とともにベッドへ菜美をゆっくりと降ろす。
「……う……っ」
いきなり菜美の声がした。苦しそうな声。
急いで、そこらへんにあったタオルを、よく冷やして額にのせる。
ふぅ、とベッドに座って時計を見る。
あ、そろそろ戻らないと、キャプテンに怒られるな……。
部活に戻ろうと立ったときだった。
「……ありがとう……ございま…す……」
弱々しい声が細く聞こえた。
それに小さくおじぎをした後、保健室を出た。
菜美の看病をした方が良かったのか……?
先生もいないのに、誰が看病するんだ?
多分、菜美が熱っぽくなっているのを知ってるのは、俺だけ。
熱、というよりは熱中症か?
ま、そんなことより……。
他に誰かが来るまでなら……。
もう一度保健室に入って、保冷剤をタオルで巻いて、首の裏に当ててみる。
なんだか、顔色が良くなった気がする。
「早く治せよ……。」
そうやって小さく呟いたら、
菜美が、微笑んだ気がした。