「………大狼君?」
「どうした?忘れ物か?」
「んー、カギ落としちゃって……」
あー、何でカギ落としちゃったんだろ。
「じゃあ、探し行こうぜ!」
いきなり、私の手をつかんで進んでく。
私のとまどいも気にしないで、どんどんと学校に入っていく。
あぁー……。
真っ暗………っ。
頼りになるのは、ぼんやりと非常口の緑の光。
それと……
繋がれた手………。
って、私何考えてんだろ!
すると、触れていた手が離れる。
「えっ、大狼君?!どこ?!」
手を広げてその場を一周してみても、
手がかりとなるようなもの1つない。
と、とりあえず引き返さないと……っ
でも……回ったから、来た道がわからない。
これじゃ、どうしようもできないっ…。
かすかに目が慣れてきた…。
月の光みたいなのも……見える……けど……。
見えたからってどうにもなんないっ!
あー、もう、怖いよ……。
ピカッ
「わっ!」
いきなり、目の前が光った。
眩しさに閉じたまぶたをゆっくりと開く
………と……。
下から光に照らされた、人みたいな、人じゃないみたいな顔が浮き出てきた。
という事を理解し終える前に……。
「ぎゃあああああ!!」
やばい、やばい、何か見ちゃった!
もう、やだ……。
叫び声とともに走り出していた私の、
たどり着いた先は…………
理科室だった。