「あっ、そうなんですよ!」
キラキラした笑顔を向けて見てくる。
………良いことがあったんだな。
「何したの?」
「手………繋ぎました………。」
その言葉にだって、心臓がズキズキときしむ音をあげて痛む。
嬉しそうな表情に、心臓が張り裂けそう。
「………そ、そっか…。」
………なんで俺、声が震えてるんだよ?
こんな事、あるって思ってたはずなのに。
「………先輩……?」
「……ん…?どうしたの……?」
いつも通りに、いつも通りに…………。
普通の女子と話すときみたいに………。
「………もっと喜んでくれると思ってました…。」
寂しそうに、ふいっと俺の顔を見ないで言った。
「………喜んでるよ、良かったね…!」
………ウソ。
俺は、そんなに優しいヤツじゃない。
「はいっ!!」
君をすごく好きで、でも君には好きな人がいるわけで。
しかも、友達で、後輩で。
でも、君の事が好きだから、好かれたいって思う。
喜ぶ顔が見たい。
でも、ね。
君が喜ぶのは、君の恋を応援する事で。
他にもあるんだろうけど、俺には、それぐらいしかできなくて。
悔しい、けど。
君の気持ちなんて、変えられないし。
君は、ひとりしかいないし。
もっと、笑っていてほしい。
もっと、喜んでいてほしい。
でも、これだけは………。
「…………喜べるわけ……ない……。」
気持ちが小さい言葉となって、口からこぼれ落ちる。
…………聞こえてないといいけど…。
「………先輩……今何て……。」
ウソだ、
………聞こえてた。