【透side】
ジリジリ照りつける太陽。
周りには家族連れとか、カップルとか。
キャーキャーっていう絶叫の声。
………週末の遊園地。
「ちょっ、先輩っ!私……絶叫マシンとかダメなんですけど!」
怖がる君を引っ張って、絶叫マシンの列に並んでる。
「はーい、次ー」
係員のお兄さんが俺たちを絶叫マシンに座らせる。
絶叫は好きじゃないけど、嫌いじゃない。
「い、い、嫌です!!」
安全バーを降ろしながら涙目で俺を見つめてくる。
その表情に、心臓が音をたてる。
「もう出発するから無理だけどねー?」
余裕な言葉でごまかして、君の様子を伺ってみる。
「えっ、はっ、う、動いてる?!」
状況が飲み込めないように戸惑った後、マシンは動き始めて、高いところの頂上。
落ちるか落ちないかの道を行ったり来たりしている。
そして、ついに
「怖い怖い……っ、きゃああああ!!!」
真下に落ちていった瞬間の君の叫び声を聞いて、
プシュー……
あっという間に終わってしまった。
「………はぁっ、先輩……ヒドすぎます……っ」
うるうるした瞳で、俺を覗いてる。
………そんな顔で見るなよ……!!
「そういう顔されると、もっとしたくなるんだけどな~」
加速する心臓の音。
一生懸命にいつもの俺っぽく振る舞う。
「嫌です!絶対に、嫌ですから!!」
………ま、そんな気持ちなんて気づくわけないんだけどさ………。
反応が面白いから、ちょっとだけイタズラしてみよ……
「あっ、晃太っ!!」
大声で、人混みの中を指差してみる。
………いないけどね。
「えっ?!どこですか?!」
すぐに隣から居なくなって、その人混みへずんずんと入っていく。
そして、5分ぐらいした後帰ってきて、いないって怒られた。
「………本当…晃太の事好きだよね~」
君は晃太が好きすぎて、俺は君の瞳に映れない。
………いつになったら映れるんだ…。
「………好きですけど…。」
自分から話をしておいて、ズキズキする心臓。
………いちいち傷つくな。
「で、ココに来る前何かあったの?」
何かを言いたそうにウズウズしている君。
何かあってほしくない
なんて考えてる。
俺、最低だ。