私はあの日、神様に恋をした。




「ひっく……っ……」

見渡す限り青々と茂る木々ばかり。
少女ー神凪 璃桜ーは引っ越したばかりの場所で迷ってしまったのである。

「ふぇ……にーちゃ……どこぉ」

「……どうしたの?」

「?」

声をかけられその方向を見るときらきらとした金糸のような長い髪と不思議な狐の面をした少年?がいた。

「あなた、だぁれ?」

少女は黒曜石の様な真っ黒な大きな目をくりくりとさせながら少年?に問いかける。

「えっと、…………玉藻です」

「たまも?」

「はい、あなたは?」

仮面の奥の赤い瞳が真っ直ぐに少女を見る。

「かんなぎ りお、五歳です」

「…………」

さわさわと木々が騒いでいるような気がした。