そんなある日。



彼女の特集テレビがあると聞き、俺は急いで家へ帰った。



テレビをつけるとちょうど彼女の特集が始まるところだった。




「今日は…今、話題沸騰中の新人・藍染未風さんです!」




パッと画面に出る…彼女の顔。




中学の頃よりだいぶ大人な顔つきになっていた。




そして…前とは違う。




自信に満ちた顔つきをしていた。





「藍染さんは『悲恋の神様』として話題ですが…悲恋の経験があるのですか?」




…いきなりの質問。





俺は食い入るようにして画面を見ていた。














「…あります。中学の頃に…」




彼女はそう言葉を発した。




俺はつい自分の事だと思ってしまった。




「その人とは中学以来、会ってないんですけどね。…すごく会いたいです。」




彼女はそう言い切ない笑顔を見せた。





その笑顔は俺に向けたものなんだって。





そう思うと…悲しい感情だけが心の中で渦巻いた。





未風。俺だって会いたいよ…













でも俺はわかっていた。




その願いはそう簡単に叶うものなんかじゃないって。