「夏の大会まであとわずかだ。気を引き締めろ。」



先生の言葉に力強く返事をする俺ら…野球部員。




今はごちゃごちゃ考えてちゃいけない。




3年生が悔やむことのない大会に俺ら後輩達は頑張らなきゃいけないんだ。




俺は練習に精進した。




胸張って言える野球部員として。




だが、やっぱり隣にいる徹はなかなか練習に集中できないようで…




「本郷ぉぉー!!気を引き締めろって言ってるだろーがぁぁあっ!!」





先生に何度も怒られ、頭を下げる徹。





俺はただ「どんまい」としか言えない。





恋というのは…ここまで精神をかき乱されるようなものなのだろうか。





…もし恋がそういうものだとしたら、俺はなぜこんなに集中していられる?











「俺…本当に未風が好きなんだよな…?」













自分の気持ちまで見失いそうな気がした。





もしかして俺は、恋なんてできないんじゃないか…?






そうとまで思うようになってしまった。