友達のおかげで試合に行けることになった。

それはとても嬉しかった。

しかし、サッカー部で特別仲の良い子などいないし他にもたくさんの女子が来る訳で…。

こそこそ見たかった私にとってとても複雑な気持ちだった。

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私は帰りに職員室に寄った。

「失礼します」

、と目に入ったのは柿橋知也だった。

彼はサッカー部の顧問と話をしている所だった。

少しドキドキしつつ用を済ませ職員室を後にしようとドアを開けたとき、

「帰んの?」

低い声が後ろから聞こえた。

一瞬で誰だか分かったから顔が少し熱い。

「うん」

そう言うと外へと押し出された。

廊下に置いてあったバッグを持って

「途中まで一緒に行こ?」

思いもしない言葉だったため、頭の中が真っ白になってしまった。

言葉が出なかった私は、ひたすらに頷いた。


彼は自転車通学をしていて、私は電車だ。

外に出るたった3分くらいしか一緒ではないが、それでも何を話せばいいのか、変なこと言ってしまわないか不安だった。

勝手に私がドキドキしてるだけだけど、それでも『こんな時間はもう二度とないだろう』そう思うといつもよりも積極的になれた気がした。