「あ、努からだ」



震える携帯を手にした弘が、着信相手を見てそう言うと通話ボタンを押した。



「もしー。あー。今カラオケ前」


それから会話を少しした後、弘が電話を切って私を見る。


「努、これからこっち来るって」

「まじか」

「俺、遠田といるから」

「うん」


弘は口にしなくても、私の事をわかってくれているようだ。


暫くして、少し先に努と梨々子が見える。



だけど。

その二人を見て、さっきまでの告白の決意なんてどっかに行ってしまった。