「貴様、よくも薙晶を!」


「っ……―――」



部屋に入ってきた50代ぐらいの男は、浅雛を見付けると一直線に向かい胸ぐらを掴んで壁に叩き付けた。



「止めて下さい!」



その後ろから男を止めようと、女性警官が慌てて入ってくる。


そして開けっ放しのドア付近には、同じく50代ぐらいの女と30代ぐらいの若い男。



声と雰囲気から、ドアの向こうで言い争っていた人物達に間違いない。



「と、取り敢えず落ち着きましょう。」



押される女性警官を見かねた厠餉乘が、男と浅雛を引き離しに掛かる。



「落ち着いていられるか!こいつが薙晶を…、俺の娘を、ビルの屋上から突き落としたんだぞ!」


「そうですわ。貴方達警察は、殺人犯を野放しにする気なのかしら!?」



厠餉乘の言葉に男は更にヒートアップし、女も加わって責め立てる。



「浅雛が?」


「あり得ない。」


「貴方達ちょっと黙ってて。」



男と女の言うことに仇夂も小鳥遊も反論しかけるが、假躍がそれを制す。