「貴様っ……!!」


「貴女の様な人間が来るところではありませんわ。出てお行きなさい!!」



「待って、お父様、お母様。」



薙晶に近づいた聖を、今にも追い出そうとする清憲と曝。


薙晶は制止しながら起き上がる。



「薙晶……」


「聖っ!!」


「!!っっ……薙晶っっ……」



薙晶は起き上がると、側に来た浅雛に抱き付いた。


浅雛もやっと気が緩んだのか薙晶を抱き締める。



2人の目には涙が浮かんでいた。



「ち、薙晶…!?何故……?」


「あんな娘と……」



浅雛と薙晶の抱き合う姿を見て、清憲と曝は驚きを隠せない。


それはそうだろう。


今まで見せたことは無かった姿だった。


一度たりとも。


誰に対しても。



「あんたらが見ようとすらしなかった姿だな。」


「小鳥遊。」



厠餉乘は諌めるが、小鳥遊はそっぽを向いて知らんぷりを決め込んでいる。



「(ったく……)あれが娘さんと浅雛の嘘偽りない、本来の姿ですよ。」



厠餉乘は諭す。


盲目過ぎた、親バカならぬバカ親を。