そして、迎えてしまったその日。

私は、迷って迷って、でもやっぱり、行かないなんてことできるはずなくて。

いつものように、電車に乗っていた。


春次郎さんから、いつも逃げている私。

自分の心が傷付きそうになる度に、私はいつも。


今度だけは、逃げちゃだめだ。

春次郎さんのためにも、逃げちゃだめだ。


彼が、何らかのけじめをつけようとしているのなら。

私はそれに従うしかない。

そうしないと、春次郎さんをもっと苦しめてしまうかもしれない―――




駅に着いた。

午後一時の、南口のエスカレーターの下。

彼は、まだいなかった。




今日は、夕方から雪が降るらしい。

今年一番の、寒い日になるらしい―――




私は、近くの噴水の縁に腰掛けて、春次郎さんを待った。

彼は、絶対に来ると信じて。

いつまでも、いつまでも待った―――