そして、年が明けたある日のこと。
いつものように、郵便受けに何かが入っていた。
だけど、今度は封筒ではない。
一枚の、絵葉書だ。
特に意味はない、外国の景色の書かれた絵葉書。
私は、それを裏返すまでに、とても時間がかかった。
怖くて、怖くて。
指先が震えているのが、自分でもわかった。
すみれへ
すみれ、渡したいものがあるんだ。
来週の土曜日、いつもの駅に来てくれないか。
午後の一時ごろ、南口のエスカレーターの下で、待ち合わせよう。
どんなに遅くなってもいいから、来てほしい。
僕も、どんなに遅くなっても、きっと行くから。
春次郎
その文面から、ただならぬことが起きたことは分かった。
そして、私の目からは涙が溢れて。
ポストカードに、ぽつりぽつり、と染みをつくる。
嫌だよ、行きたくないよ。
春次郎さん、私、行きたくないよ。
最後だって、そう言うんでしょう?
あなたは私を突き放して。
そして、自分は一人になるんでしょう?
胸が痛くて、たまらなくて。
私は、その日大学を休んだ。
春次郎さんとの約束を破った。
授業にちゃんと出る、っていう約束、破った―――
いつものように、郵便受けに何かが入っていた。
だけど、今度は封筒ではない。
一枚の、絵葉書だ。
特に意味はない、外国の景色の書かれた絵葉書。
私は、それを裏返すまでに、とても時間がかかった。
怖くて、怖くて。
指先が震えているのが、自分でもわかった。
すみれへ
すみれ、渡したいものがあるんだ。
来週の土曜日、いつもの駅に来てくれないか。
午後の一時ごろ、南口のエスカレーターの下で、待ち合わせよう。
どんなに遅くなってもいいから、来てほしい。
僕も、どんなに遅くなっても、きっと行くから。
春次郎
その文面から、ただならぬことが起きたことは分かった。
そして、私の目からは涙が溢れて。
ポストカードに、ぽつりぽつり、と染みをつくる。
嫌だよ、行きたくないよ。
春次郎さん、私、行きたくないよ。
最後だって、そう言うんでしょう?
あなたは私を突き放して。
そして、自分は一人になるんでしょう?
胸が痛くて、たまらなくて。
私は、その日大学を休んだ。
春次郎さんとの約束を破った。
授業にちゃんと出る、っていう約束、破った―――