「………ふとした偶然をきっかけにひらめきを得、幸運をつかみ取ること、またはその能力。か。」


枕元のケータイを取り、検索してみる。

"Serendipity"




…幸運、なんてわたしとはかけ離れてる言葉だこと。

あの男の子ともかけ離れすぎて
かけ離れすぎるから夢に出てきたのか?

なんて自分でもわけの分からない結論に。





「…ほんと、かけ離れすぎ…」



右手を顔の上に上げると
薬指にはキラキラ光る指輪。



「…いくらするんだよ…」



何回かしか会ったことのない
酔っぱらいの女たらしなおじさんに
もらったものなんて。

嬉しくもないし幸運とも呼べない。




わたしはそれをはずし、
ポイと放り投げた。