「なにいっ、お前うちの生徒に手を出したのか!?」
「簡易制裁を加えた、もしくは喧嘩したといって頂きたい」
「お前ほどの実力者相手に喧嘩になるかっ」
「相手はねずっちだったよ」
「…一方的ではなかろうが。学校に苦情の電話があったんだぞ」
「あら。どんな電話だったの?」
「……」
「……お父さん?」
「校証を付けたうちの生徒が、きりもみしながら盆栽をぶち壊し、庭をえぐったそうだ」
『うわぁ』

 乾いた談笑。
 松永の父が帰ってきたみたい。

「それだけならまだしも、起き上がるなり人様のカーテンを引きちぎって頭から被り、ノコギリを拾って
『トサカにきたぜポンコツが、五体満足でいられると思うな! 燃えないゴミの日に出してやんぜえ!!』
 と、高らかに吠えて塀をよじ登っていったそうだ」
「どちらかといえば私は粗大ゴミです」
「そういう問題、でもあるな」
「ふーん。ねずっち、あたしの自信作を壊せる気でいるんだ」
「お顔が恐いですドクター」
「それに、利沙が整備しているだけで、作ったのは別の人だろ」
「ちゃっかり自分の物にしようとしないの」

 兄と母に怒られている。
 マッドドクターも人の子ね。

「お前らな〜。警察沙汰は勘弁しろよ?」

 そう思うなら止めろ。
 二児の父親にして体育教師。