「ねえ真兎。ねずっちたちは?」
「知るかあんなげっ歯類」
 平然と毒を吐く。
 気にも止めず、おかしいなあ、と首を傾げる利沙。
「隣の教室見たら既にいなかったから、先に帰ったと思ったのに」
「どうせデタラメ管理人に言われてガラクタ漁ってんだろ。薄汚れて帰ってくる」
 卓人の心配とは余所に、泥まみれになったりすを思い笑う。
 相当性格がひねていた。
「泥まみれといえば――」
 ずっと引き伸ばしていた問題だった。
 そろり、と手を挙げ質問する卓人。
「このクレーター、何?」

 庭の中央には、陥没した大地の先に小さな穴がいくつも開いた、世にも奇妙な穴があった。
 仮に蓋をしたとしよう。
 簡易な落し穴に見立てたとしても。
「…大地震?」
 そう、もはや穴ではない。
 これは災害の足跡だった。
 恐るべき自然の驚異! 地球は怒っていた!
「またあの二人?」
 腕を組んで呆れる真兎。
 二人の母は乾いた笑い。

 燃え上がれわたしの拳! 邪悪の根源よ立ち去れ!
 だったら縄を解け。話はそれからだ。 
 今年もやってきました恒例の気張らし大会! 惜しむべきは平日で参加者が少ないことです。
 皆遠巻きに観戦しています。
 ルールは簡単、ここにある巨大ハンマーだけで罪人を叩き潰すだけ!
 俺悪なのか。
 自覚がないのと嘘つきは犯罪。
 混ざってるから。
 さーあ! それじゃあ気張って第一玉!!
 おけ。俺が悪かった子狐ちゃん、土下座してでも何が悪いのか皆目検討もつかないが謝ろうじゃないか。平和的な解決を望むわけなのでそれを振り上げるのは止めてーーーー

 ――…ごごごごごごごごごご

「しんじゃった?」
「ホワイトボードを買いに行きました〜」
「人間じゃないな」