聞きなれた町の音、見慣れた町の景色

全てが新しい世界に抜け出したい。
「行ってきます…。」

わたしはこの一言を最後に家出する事にした。
理由は簡単、親が嫌いだから。
正確にいえば、愛してくれないから。

去年の11月に父は死んだ。
肺がんだった。

わたしは父が大好きで、毎日毎日お見舞いに行った。
死んだときは、涙が枯れるぐらい泣いた。その時母も泣いていた。
わたしが支えないと、そう強く思ったのに、母は父が死んでからたったの3ヶ月で新しい恋人を作った。

最近はわたしを邪魔者扱い。
母の顔も、この家も、あの時の感情もすべて消しさりたい。

わたしはただただ夜の町を歩いた。