な、なんて失礼なヤツ……! やっぱりただの悪ガキ!

喉元まで暴言が出かかったものの、一応公衆の面前ということでぐっと堪える。


「悪かったわね、ひよこのままで」

「いや? 俺は嬉しいよ、変わってなくて」


口元をピクピクさせつつ言ったものの、意外な柳の言葉にキョトンとするあたし。

何で嬉しいの?……と聞こうと思ったその時。あたしを見つめてくる瞳と視線が絡まり、柳の手がこちらに伸ばされる。

何かと思った瞬間、長い指があたしのセミロングの髪に触れた。

それとほぼ同時に、彼は妙に大人っぽい表情でこんなことを口にする。


「中身はそのままだけど、外見は変わったな。いい女になってきた」


──ドキン!と跳ねる心臓と、電車の揺れが重なった。

まさか、柳の口からそんな言葉が飛び出すなんて……しかも不意打ち。


どうやら彼は、少しだけ乱れていたあたしの髪の毛を直してくれたらしいのだけど。

彼の指が髪を滑る感覚や、予想外のストレートな言葉に、どんどん顔に熱が集まっていくのがわかる。

急にそんな言動をされて、あたしは何て言ったらいいの……!?