それにしても。ボケッとしてても悔しいくらい美形だな、この人。

こんなにカッコ良くて、さらにはギターも弾けちゃうんなら、当然彼女もいるんだろうなぁ。


……って、何であたしがこんなにこいつのことを考えてるの。

柳なんか、久々に会ってもまったくあたしに関心を示さないっていうのに。


「……ねぇ、あんたは何であたしがあんなことになってたか聞かないの?」


目を合わさず、ガタンゴトンと鳴り響く電車の音にかき消されそうな声で尋ねてみた。

だって、あたしだけが柳のことを意識してるみたいでなんだかシャクだから。


すると、気だるげに手すりに寄り掛かる柳は、あたしの顔を覗き込むようにして言う。


「聞いてほしいの?」

「そういうんじゃないけど、気にならないのかなって」

「どうせ合コンか何かで、よく知らない奴に流されて連れられてきたんだろ」


うっ、何でわかるのよ~……!

口をつぐむあたしに、図星だと確信したらしい柳は、いたずらっぽく口角を上げる。


「お前変わってねーんだもん。ニワトリになってないひよこのまま。だからだいたいのことは想像つくよ」