「裸じゃなくて水着でしょ」

「似たようなもんじゃん」

「全然違うから!」


そー?と、間延びした声でどうでも良さそうに言う柳を、あたしは据わった目で見やる。

相変わらずボケてるというかテキトー人間というか……。

まだ異性を意識したことがない子供の頃に、どれだけ肌の露出やスキンシップをしてたって、きっと今では意味ないよ。


離した手をジャケットのポケットに入れた柳の隣に並ぶと、あたしも手をニットの袖で隠し、歩調を合わせて歩く。

駅の改札を抜け、あたし達が乗る電車が来るホームで足を止めた。

ラッシュを過ぎた今の時間は、それほど混雑していない。


「ところで、何で柳はあんな所にいたの?」


皆一様にもこもこした服装をしてる人々を眺めながら聞くと、柳は平然とした顔でこう答えた。


「んー、気持ちイイことしてたから」


……キモチイイコト?

ラブホが立ち並ぶあの通りのどこかで……気持ちイイこと!?

って、えぇぇ!!


「アンタもなの!? このドエロ大魔おぅ──!」

「あほか。あんなヤツと一緒にするな」


猫のように毛を逆立てて飛びのこうとすると、柳はあたしの頬を片手でぶにゅっと掴んだ。