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ゴールデンウイークの最終日、お風呂を上がって自分の部屋へ戻ると、スマホのランプが点滅していた。

画面をタップして表示されたのは“大崎 柳”の名前。

着信があったんだ……珍しい。どうしたんだろう?


少し鼓動を早まらせつつ、ベッドに腰掛けてスマホを操作し、耳にあてる。

数回のコールの後に、『おーひより』とのんびりした声が聞こえてきた。


「電話くれたよね? ごめん、お風呂入ってたの」

『じゃ今ノーブラだ』

「変態」


すかさずつっこむあたしに、柳は無邪気に笑う。

こういうとこがほんとバカだし、やっぱり大人な秋ちゃんとは違う。

……けど、あたしだってバカだしまだ大人でもない。だから、柳といるのが心地良いんだろうな。


「電話掛けてくるなんて何かあったの?」

『あぁ、ちょっと相談……つーか、頼みたいことがあってさ』

「頼みたいこと?」

『俺らの高校7月に文化祭があって、ライブもやるんだけど』


タオルで濡れた髪をわしゃわしゃと拭いていたあたしは、次の柳の言葉で固まった。


『その宣伝のための、フライヤーのイラストを描いてもらいたいんだ』