「ひよりちゃんの近況、いろいろと聞かせてよ」

「……なんか家庭訪問みたい」

「今日は先生じゃないって」


軽く笑うと、秋ちゃんの手が伸ばされて、あたしの頭をぽんと撫でる。

びっくりして心臓が跳ねるけど、昔もこうやって撫でてくれたことを思い出して、なんだかあったかい気持ちになった。


ダイニングに移動して、お父さんと大地ともご対面。

お父さんとにこやかに挨拶を交わした秋ちゃんは、少し屈んで大地に目線を合わせる。


「こんにちは、大地くん。大きくなったなー。俺のこと覚えてる？……わけないか」

「うん……すみません。ひよちゃんがいつもお世話になってます」


ぺこりと頭を下げる出来過ぎた弟に、あたし達は爆笑した。


それからは、お母さんが腕を振るった手料理やオードブルを食べながら、わいわい話をした。

しばらく会っていなかったけど、違和感なくわが家に溶け込んでいる秋ちゃん。


いつものスーツ姿もいいけど、カジュアルな私服姿もセンスが良くてカッコいい。

アメカジやストリート系の服を着てる柳とは違って、落ち着いてる感があるし。

やっぱりあたし達とは違う、大人なんだよなぁ。