「えぇ~! 昔一緒に遊んでた~!?」
翌日、ロッカーから荷物を取り出しながらリカにそのことを教えると、案の定廊下に彼女の叫び声が響き渡った。
「何で!? どうして平々凡々なひよりの周りにこんなにイケメンが集まるわけ!?」
「そんなこと言われても」
心底不思議だと言いたげに目を丸くするリカに、あたしと亜美は苦笑する。
次は皆がお待ちかねの古典だ。
教科書を出して教室へ入ろうとした、その時。
「ひよりちゃん」
この学校内ではまだ違和感がある男性の声が、あたしを呼ぶ。
ドキッと胸を弾ませて振り返ると、大人になった秋ちゃんの優しく綺麗な笑顔があった。
「あ……じゃなかった、東條さん。久しぶりだね」
「秋ちゃ……み、南澤先生! お、久しぶり、です」
うわぁ、なんかぎこちなくなっちゃう! 先生なんだから敬語も使わなきゃいけないし。
「馴れないよね」と笑いながら、秋ちゃんは亜美にも挨拶している。
知っているのに別人のようで、やっぱり不思議な感覚だ。