順に先生達が挨拶していき、最後は秋ちゃん。

マイクを持った彼は、軽く一礼してにこりと笑みを浮かべた。


「はじめまして。古典を担当することになりました、南澤です。
学校に勤務するのは初めてなので、皆さんいろいろと教えてくださいね。よろしくお願いします」


あぁ、この優しい声は変わってない……懐かしいな。

また会えて嬉しいけど、これからは先生と生徒という立場になるなんて不思議な気分。

低姿勢だけど堅苦しくない挨拶をする秋ちゃんに、再び皆のテンションが上がり、学園長のお怒りの声が終始響いていた。



まるでアイドルのライブでも見たかのように、頬を紅潮させて自分達の教室に戻る皆。

その中に、ぽーっとしているリカの姿も発見。

そういえば、春休み中は全然会わなかったし久々だ。


「おはよーリカ」

「リカちゃん、久しぶり」

「ひより、亜美……」


声を掛けたあたし達をゆっくり見比べたリカは、久々の礼拝ポーズをとり、うっとりと斜め上を見上げてこう言った。


「彼こそ私の理想ど真ん中よ～！」


誰のことか聞かなくてもわかるあたし達は、「また始まった……」と、同時に頭を抱えた。