そして迎えた新学期。
桜の蕾が開き始めた小春日和に、あたし達はめでたく2年生に進級した。
始業式で、学園長の長い話を聞いた後は、いよいよ新しく入った先生の紹介が行われる。
壇上に上がってきた何人かの先生の中で、それらしき男性を見付けたと同時に、周りがざわめき始めた。
「え、なんか若いイケメンがいるよ!?」
「ほんと、イイ感じ!」
「うそ、新米教師? 超テンション上がるんだけど!」
皆が騒ぐのも当然だろう。
だって秋ちゃん、本当にさらにカッコ良くなってるんだもん……!
ナチュラルな黒髪に、中性的な顔立ち、スーツを着こなしたすらりとしたスタイル。
大人の余裕が漂うその姿は、あたし達女子高生にとってはたまらなく魅力的だ。
今までこの学校にはおじさん先生しかいなかったから、若い男ってだけでポイントは高いんだけど。
「やっぱり秋史くん、すごい人気になりそう」
「ねっ」
亜美ともコソコソ話していると。
「皆さんお静かに!」
おばさま学園長の声がエコーを残して響き渡り、講堂内は再び静まり返った。