「ひよちゃんのことすごい可愛がってくれてたもんね、秋史くん」


昔を懐かしむように目を細めて、亜美が微笑む。


「亜美もそうだったじゃん。そういえば、秋ちゃんのことも平気だったよね」

「歳が離れてたし、本当に優しい人だったからね。
でもひよちゃんに対しては、他の人よりたくさん愛情をかけてたような気がする」

「そんなことないと思うけど……」


秋ちゃんは皆に優しいイメージだったから、あたしだけ特別、なんてことはなかったはず。

すると、コードらしきものが書かれた楽譜をパサッとテーブルの上に置いた相模くんが、あたしに意味ありげな笑みを向けてきた。


「その秋史さんが来るってなって、ひよりちゃんはどう思う?」

「えっ?」


何でそんなことを聞くんだろう。

キョトンとしつつ、とりあえず考えを巡らせて答える。


「……もちろん嬉しいよ? 今の秋ちゃんがどうなってるのか気になるし、学校行くのもまた楽しくなりそうだし。カテキョもやってるって言うから、勉強教えてもらおうかなって。あ、でももう先生だから秋ちゃんなんて呼んじゃいけないのか」


あはは、と笑っていると。

──ガタン!と、小さなステージの上で音がした。