「……え、秋史が葉藍に来る?」


4月1日、久しぶりに遊びに行ったスタジオで休憩中に話すと、ソファーに座ってギターを弄る柳があたしと同じことを言って眉根を寄せた。


「エイプリルフールだから俺を騙そうったってそうはいかねぇぞ」

「騙してないよ。ていうか、なにその反応」


何で機嫌が悪くなるんだろう。柳も昔、一緒に遊んでもらってたのに。

あたしの隣に座る亜美は、驚きと嬉しさが混じった顔を見せる。


「秋史くんが来るなんてほんとびっくり!」

「誰なの、その秋史って人は?」


ペットボトルを片手に柳の隣に座る涼平くんが聞いてくるけど、柳は答えようとしない。

少し離れて座る相模くんとサブさんも不思議そうにしているし、とりあえずあたしが説明した。

納得したように、涼平くん達が頷く。


「へぇ~、三人と遊んでくれてた兄ちゃんか。仲良かったんだね」

「うん! 夏はバーベキューやったり、花火見に行ったり、結構一緒にいろんなことしたなぁ」


思い出すと自然と笑みがこぼれる。

小さなあたしと手を繋いで、歩幅を合わせて歩いてくれて、本当のお兄ちゃんみたいに接してくれてた。