誰もいない昇降口。
私の足音だけが小さく響いた。
私は1年4組の下駄箱へ移動し、6と書かれた数字を探す。
シンプルな靴と、6の数字が目に入る。
「ここ、だよね」
私はその前に立ち、折り畳んだメモ帳を入れる。
「ごめん、小野くん...」
私はその場からすぐに離れ、早足で教室に戻った。
どうしようどうしよう。
本当に入れちゃったんだ。
今日の放課後、告白しないといけないんだ...。
人生初めての告白は、学年で1番モテモテの小野柊也に。
しかも、それは罰ゲーム。
恋愛感情がこれっぽっちもない人に。
こんなことしていいのかな。
そんなことを考えながら、教室に入った。
「彩花、ちゃんと入れた?」
優奈の机にいる美紅に声をかけられる。
「うん、入れたよ。ちゃんと」
その瞬間、6時間目の始まりを知らせるチャイムが鳴る。
クラスのみんなが慌ただしく自分の席に座る。
私と美紅もその中の人。
全員が座り終えたタイミングで先生が入ってきた。
「きりーつ、礼」
「お願いします」と終わりの挨拶のようにだらしない声が床に飛ばされる。