「いいよ、優奈終了ー!」
美紅が叫ぶ。
私は動画を保存し、携帯を美紅に手渡す。
教室の戸という名のスタート位置につき、私は目を瞑る。
「いい?いくよ」
美紅の声に私は頷く。
「よーい、スタート!!」
私は、恐る恐る一歩目を差し出し歩いた。
真っ直ぐ真っ直ぐ真っ直ぐ。
すると、コンクリートのようなものにぶつかる。
思わず目を開けると、目の前には白い壁。
「彩花終了ー!」
遠い方から優奈の声がする。
視線を前にすると、優奈はずっと向こうにいた。
えっと思わず声が漏れる。
後ろを振り向くと美紅がすぐ近くにいた。
「私、全然進んでないじゃん〜」
そう言いながら美紅の元へと歩く。
美紅は「ドンマイ」と私に携帯を手渡した。