小野くんと別れて、私は今教室にいる。
まだ優奈と美紅来てないのか。
さっきの出来事を思い出し、思わず口元が緩む。
小野くん優しいなぁ。
私の理想の王子様!
優しくて紳士的で笑顔がかっこいい。
まぁ、好きになれるかって言ったらちょっと違うけど。
小野くんはすごく優しくしてくれてるのに、私は罰ゲームだということを隠して付き合っている。
いけないことだって分かってる。
でも、小野くんと付き合っている事実が嬉しかったりもする。
私最低だなぁ。
頬杖をつきながら机の表面をじっと見つめる。
「あーやかっ」
頭をバシッと叩かれ「へっ」と間抜けな声が出る。
叩かれたところを手で押さえながら私は顔をあげた。
「どうしたの、今日はえらく早いじゃん」
「今日はたまたま早く起きれたからね」
「ふーん」
小野くんと一緒に登校してきたって言うべき...?
いや、でも聞かれてないし言わなくてもいいかな。
「あっ、今日駅前のドーナツ半額らしいから帰り寄ってこうよ」
美紅が私と優奈の顔をみて言った。
優奈は「まじで?いくいく!」とドーナツ半額の一言でテンションが上がっている。
私は...。
「ご、ごめん。今日は...その、小野...くんと...」
恥ずかしくて俯いた。
「なになに?」
小野という名前に反応して、優奈が覗き込んでくる。
「一緒に帰るの!?」
美紅が心底驚いたような声を出す。
私は顔をあげ美紅を見た。
「こ、声でかい!」
「まじ?あの小野と?」
「まぁ...」
「なーんだ」と優奈の明るみな声が聞こえた。
「結構楽しんでる感じ?」
ニヤニヤしながら私に問う。
「楽しむも何も、まだ1日目だし」
「ふーん」