「おはよう...」
昨日早く寝たせいか、起きた時間がいつもより20分早かった。
「おはよう。珍しく起きるの早いね」
お母さんは私に気付き、朝食の用意を始めた。
リビングにあるダイニングテーブルには妹が座っている。
「起きるの早いね、今日は」
妹までお母さんと同じことを言ってくる。
「うざい」
私はリビングを後にし、洗面所に向かった。
「お姉ちゃーん、あたしも後でそこ使うから早く顔洗ってねー!」
リビングから妹の声がして、私はひとりごとのように「はいはい」と空返事をした。
さすがに今の季節、冷たい水では顔がガチガチに凍るので私はお湯を出す。
「あったかい...」
寝ぼけたまま、私は顔を洗い始めた。
ちょうど顔を洗い終え、眠気もすっかり取れた私はタオルで顔を拭いていた。
「はいはい、邪魔邪魔ー」
妹が私の服を掴み引っ張る。
「わかったってば」
私はタオルを顔から離し言った。
「大変だねぇ、朝練ある人は」
「まーね。コンテストの練習あるし」
妹は吹奏楽部に入っている。
トランペットを担当していて、部長もやっている。
そういう私も、中学の頃は吹奏楽部に入っていて、チューバという低温楽器を担当していた。
そして部長という役職にもついていた。
まさか姉妹揃って部長になるとは思わなかった。
「あ、ねぇお姉ちゃんさ、チューバの音程が悪いときってどうしてた?」
「なんで?」
「コンテストに出るチューバの子がね、音程なかなか直らないみたいでさ」
「あー...」
でもまぁ、楽器のことについて聞かれるのは悪い気はしない。