2人の夢見がちなカップルライフの話を聞きながら駅まで歩いた。
「じゃあ、また明日ね」
優奈と彩花は電車通学。
私は歩いて学校へ来ているので、2人とはここでお別れだ。
「うん、じゃあね。気をつけて」
「彩花もね。変な人に襲われないように!」
優奈と美紅は笑い飛ばしながら私に背を向けた。
私は2人を少し見届けてから歩き始める。
「はぁ...」
2人の賑やかな声は消え、今は自分の溜息がよく聞こえる。
「1ヶ月...か」
私は12ヶ月あるうちの1ヶ月を無駄に過ごそうとしている。
罰ゲームのために。
小野くんにも申し訳ないなぁ。
ていうか、小野くん、私のこと好きそうな顔してなかった気がする。
だって、私の名前すら知らなかったんだよ。
好きなら普通調べたりして知ってるよね...。
なんで小野くんは私と付き合おうとしたんだろう。
俯きながら、小野くんと付き合った今後のことを色々考えてみる。
小野くんは裏がありそうって思ったけど、案外、いい人だったりするのかなぁ。
あんな優しい人が悪い人なわけないか。
うん、そうだそうだ。
小野くんはきっといい人。
今まで変に疑っていた自分がなんだか恥ずかしくなる。
んー、でもいい人すぎて1ヶ月付き合ってもらうのは申し訳ないし。
そういう面では性格悪くてムカつくぐらいの人のが良かったのかな?
小野くんのことばかり考えながら家に着く。
「ただいまー」
靴を脱ぎ、廊下を5歩歩いた左にある階段を上り自室へ入った。