「うるせぇよ、幸。」

俺は、空いた千佳ちゃんの隣を見る。

今日もそこに、あの子はいなかった。


「あれ、妃菜ちゃんまた休みなの?」

「…そーみたいだな。」


日々野 妃菜。

彼女は、あの日以来学校へ来ていない。


俺が拒絶したあの日から。



罪悪感がほのかに残る胸の中。


俺はまだ妃菜ちゃんを想っている。

忘れられるわけが無いんだ。


あんなに想ってた。

あんなに好きだった。





あんなに愛していたから。


最初からそう簡単には消えてくれる想いではなかったのだ。

そして、叶う想いでもなかったのだ。