目を閉じている原弘貴はいつも私が近くに居たらすぐに気づく癖に、今日は全く気づく気配がない。
首筋に冷たいよく冷えているスポーツドリンクを当てる。
原弘貴は驚いたように慌てて起き上がった。
「…ん。」
とか、素っ気ない返事しか出来なかった。
もう少し素直にかっこよかったとか言いたいのにな。
それでもとびっきりの笑顔で受け取ってくれてことに満足する。
私は原弘貴のその笑顔が好きなんだ。
他の人に見せる作り笑顔じゃない、私にだけ見せてくれるこの笑顔が。
思わず私の顔も緩んでしまう。
いつか素直になるから、今はこの関係のままでいさせてね。
それまで私のこと好きでいてよね?
心の中でそう言いながら私はあともう少しこの時間を楽しんでみたいと思い、少しの間そこに座って原弘貴と他愛のない話をして楽しんだ。
久々の幸せなゆったりとした時間だった。
-妃菜side-END