不思議に思って頭をあげれば先ほどの爽やかな笑顔を浮かべている男の人はどこにもいなかった。
可笑しそうにお腹を抱えながらゲラゲラ笑う男の人に一瞬で変わっていた。
さっきの爽やかな笑顔はどこにいったの！？




「あ……あの？」




驚きながらも声を掛ければ男の人は笑いを堪えながら私を見てくる。




「ん？」

「もう怒ってないですか？」

「っぷ！！もうって言うか、最初から怒ってないよ」




ニコッと再び爽やかな笑顔を浮かべる男の人。



よかった……。
怒ってなかったんだ。
安堵のため息をつきながら頭を下げる。




「ありがとうございます。
では……私はこれで……」

「え……」




私がそう言えば男の人は驚いたような顔をする。
っていうか戸惑ってる？




「僕の事を見て何とも思わない？
って言うか君……もしかして僕の事を知らない？」




『そんな訳ないか……』と付け足す男の人は苦笑いを浮かべながら私の言葉を待っているみたいだ。




「えっと……お会いした事ありましたっけ？」




どうしよう……。
全く覚えてないんだけど……。
知ってる人だったら私すっごく失礼じゃん！