「君……結構いいセンスしてるね?」

「え……」




化粧品売り場を出るとすぐ近くの壁に寄り掛かるように立っていた男の人と目が合う。
誰……この人……。



私の目の前にいるのはまるで……。
童話の中から飛び出してきた王子様の様な人だ。
フワッとした茶色い髪に優しく垂れ下がる大きな目。
形の良い鼻と唇。
爽やかな優しい笑顔。
そしてスタイルまで完璧、こんな人世界にいるのかってくらいに格好良い……。




「ふふっ。僕に見惚れてる?」

「あ……あの……」




は……恥ずかしい。
いくら格好良かったとはいえ初対面の人を見つめてしまうなんて!!





「ん?何かな?」

「見惚れてしまってた事は謝ります。
気分を害してしまってすみません……」

「ぷっ!!」




私が頭を下げれば上から吹きだすような声が聞こえてくる。