「……」

「……」




あれからどれだけの時間が経過したか分からない。
ただ私たちは黙って化粧品を作っていた。



橘部長との2人きりの空間。
会話はないがどことなく落ち着く。



……何でだろう?
考えても分からないが、多分化粧品を作ってるからだよね?





「泰東!」




考えていれば、今まで聞いたことのないような明るい声が聞こえてきた。
隣にいる橘部長の方を見れば橘部長はアゴで自分の手元を指している。
つられてそっちに目をやればそこには表現できないような綺麗な色を放つ口紅がある。




「綺麗……!!」

「良くないかこれ!!」

「はい!凄くいいです!!」




橘部長と顔を見合わせ笑いあう。
……ん?
笑いあう……?
って……。



「橘部長が笑った!?」

「……」




私が言えば橘部長の顔は紅く染まっていった。