「でも部長……じゃあどんな商品を作ればいいんですか?」



気まずい空気の中、橘部長に質問したのは佐藤せんぱいだった。
勇気あるな……。
他人事のように眺めていれば厳しい言葉が先輩に降りかかる。



「それは自分で考えろ。
人に言われて作った商品なんて何の価値もない」



バッサリと言い放つ橘部長にみんなは顔を引きつらせていた。
一見冷たく思えるような言葉だが……その通りだと私は思うんだけどな。
自分が作りたいと思えるような物を作らないで何を作ると言うんだ。


皆は理解できないとように固まっていた。




「泰東」

「は……はい」



いきなり名前を呼ばれバッと立ち上がる私。
橘部長は無言で自分の隣を顎で指した。
えっと……そっちに行けばいいのかな?
よく分からないまま私は橘部長の横に立つ。


何故私は呼ばれたんだろう?
もしかしてまたお説教!?
しかも皆の前で……。


色々考えていれば橘部長の口がゆっくりと開かれる。



「この中で俺が採用とする企画書を作ったのは1人しかいなかった。
それが泰東だ」

「え……?」

「……えっ……」



私はもちろんの事、ここにいる誰もが驚いただろう。
橘部長以外は……。