「そういう事を言っているんじゃない。
ちゃんと食べているのか?
昼休憩の時もずっとオフィスにいるじゃないか」




そう言う事か……。
確かにここ最近って言うか佐藤せんぱいが会社に来なくなってから私は食欲がなくなった。
会社にいても家にいてもなんか……食べる気がしない。



って訳で何も食べてはないけど……。
橘部長……気付いてたんだ……。



何か胸がちょっと温かくなる。
だって私の事を気にかけてくれてたって事だよね……。



嬉しい反面申し訳ない気持ちも出てくるけど……。




「大丈夫です!
ちゃんと食べてますから!」




ニコッと笑顔を浮かべる。
嘘つくのは嫌だけどこれ以上心配を掛けたくない。




「泰東、俺に嘘はつくな」

「うっ……嘘なんか……」




何でバレるの!?
焦りながらも嘘を吐き通そうとすれば橘部長はガタンっといきなり立ち上がった。




「た……橘部長……?」

「……」




そして無言で私に近付いてくる。
なんていう……展開!?



私の心臓はバクバクと音を立てながら揺れ動いている。
そんなのお構いなしに橘部長は私を見下ろせる位置までやって来た。