大樹はそう言っているけど私はそうは思わない。
最近この先輩たちから悪口を言われる事もなくなったし、冷ややかな視線もなくなった。



だからこの人たちじゃないはず……。




「大樹……先輩たちはやっていないと思う」

「は!?じゃあ一体誰がやったって言うんだよ!!」




誰がまでは分からないけど……。
私に殺気を向けてた人がやったに違いない。
でも、それが誰かとかはあんまり知りたくないよ……。




「お前たちは本当にやっていないんだな?」




先ほどまで黙っていた橘部長が先輩たちを鋭い目で睨みつける。
先輩たちは必死に首を上下に振っていた。




「やってません。
俺たち……確かに夏香に対して色々言ってました」

「でも……橘部長に呼び出されて……。
お前が作った資料を見せられたんだ」




先輩2人は真っ直ぐに私を見ながら話してくれる。


橘部長に呼び出されたって……私が打合せ室で見た時の事だよね?
私が作った資料って……口紅の……?




「お前がどれだけ頑張ってたのか……。
それを見たら凄く実感した」

「俺たちがやっている事が馬鹿みたいに思えてさ」




先輩たちは力なく笑っていた。