両手で、紙をそっと包んで
空を見上げる。
顔の高さまで持ってきた両手を、
口元にあてがった。
ふぅ……!
息を吹き込めば、
紙から墨の黒い文字だけが抜け出した。
文字から形が変わり、人型になる。
「探し物よ。」
そう言うと、人型だった一つのモノは
小さく割られて6、7個のモノになる
「ただの物体じゃ味気ないでしょう?
小狐にでもなって行きなさい。」
丸い形だったはずの黒いモノはモヤになった後、
九尾位の小さい黒小狐になって整列した。
「童子の手毬を探してきなさい。」
そう言えば7匹の黒い小狐は
あちらこちらに飛んでいった。
『はハハ、流石だナァ姫。
今ノは影武者でアロう?』
流石……
「流石燈兜。よくわかったね
今のは私が作り出した影武者だよ」
『イやァ……
影武者を小さクシたリ変幻サせタリ複数二したリするノなんテ
なカナかお目にかかレルモノではナイぞ』
「それはどうも。」
そう言って微笑んだ。