だいぶ、一族にも慣れてきた。

まだ親密に話せない人もいるけれど
子供たちとは比較的仲良くなれたんじゃないかな





妖は、人より寿命が長い。
1年で1歳。
そう数える数え方は変わらないけれど
人の1年と妖の1年は価値が違う。


やっぱりまだわだかまりはあるけど、
嫌がらせもないし、
たどたどしいかもしれないけど、
あと少しでちゃんと交流できるはずなんだ


この場所で妖と共にゆっくり流れる時間にのせて、
ゆっくりと溶けていく私の過去の黒い思い。


きっと、もう大丈夫だ










縁側に上がり、
燈兜からもらった部屋に入る。


鏡台の隣にある座卓の前に正座して、
墨をすった。



そっ、と筆をとる。


「ふ〜……っ!」

念を込めながら紙に筆を走らせる。




……よし。

書いた紙を折りたたんでそっと立ち上がった。