『スズー!』

無邪気な声で呼ばれて振り向く。

「どうしたの?」


『妾ノ毱ガ……』

座敷童子の1人がよってきて、
手毬が無くなったとぐずる。



「毱……?
う〜ん……」

今にも泣き出しそうな顔で見あげてくる姿を見ると
どうにかしてあげたいんだけど……


『スズ、ワカラナイ……?』

「……よしっわかった。
じゃあ探してみるよ」

だから大丈夫、そう頭を撫でる。



しばらくしたらまたおいで、と
1度童子を返した。




さて……
手毬かぁ……

手を掛けていた井戸の縄から手を離して
手ぬぐいで手を拭いた。