『でハ……』


燈兜が立ち上がった気配に振り向くと、
燈兜の手が差し出された。




『行こウカ』


「…うん」





その手をとって立ち上がる。



サッと1度払った袴は、いつも着ないような色で。


内心ワクワクしながらも、
長年袴を着慣れ親しんだ体に違和感なくなじんていた。






『……姫』


声色が少し変わる。


呼び名が戻る。







少し迷って____


「はい。
よろしくお願いします」






敬語でなくていいとは言われたけれど
他の人がどう思うかはわからない。

助けてもらったことも事実。



公の場では敬語での方がいいだろう。