『燈兜が…!』


そのたった一言で
俺達のいる部屋は緊張感に包まれた。


『咲希を、連れていきまし、た…!』



ガツン


頭を殴られたような衝撃。


『それで…』






あぁダメだ。

一族でもない佐島がこんなに頑張ってるんだから
一族で、年上の俺が、ここで放心してたら………



遠退いていた意識を自らの手で繋ぎ止める。


隣では誠が落ち着いて会話をしていた



『今、翔太が倒れて、
動けるのは俺と、光輝…遠山と、関石です』



嘘だろ……
状況最悪じゃねーか……

「それで、今どこだ?
翔太の様子は?」



誠の冷静で落ち着いた声が、
佐島を支えている。


いつも大事なときはしっかりする誠が
今は本当に頼もしかった




『今、別荘に戻ってきてて
翔太は寝かせて応急処置してます。
処置っつってもどうすりゃいいのか分からないんで…
とりあえずうなされてるんで氷枕とかそれくらいしか出来ないですけど…

俺が今翔太を処置しながら話してて
遠山と関石には
必要なもの持ってきてもらってます』



「そうか………
わかった、すぐいく」


『ありがとうございます!』


誠に目配せして
準備をはじめてもらう



「いや、それはこっちの台詞だよ
…遠山達もそこにいるか?」


『あ、はい。』



「よく頑張ってくれた。
本当にありがとう。
すぐに行くからそれまで…よろしく頼む」


『『っ…はい!』』