『言い返せないだろ。
当たり前だ。事実なんだからな。』

そう言って翔に向き直る。

『翔。
なんで咲が邪気をお前から消したと
言った時に疑わなかったんだ。

邪気の事は知ってただろ?

この立っているだけの役立たずどもでも、
その様子を見ているだろ?
なんで聞かなかった?』



みんな、何も言えへんかった。


『咲は、俺たち式の支えだ。
過去の聖林当主や、封者達。

誰もが、俺達妖を道具として扱い、
何十年も、何百年も、聖林に縛られ続けた。

ただ、平穏に、暮らしていただけ。
俺達は、人間に何もしていない。
罪はないのに、住む場所を奪われ、仲間を殺されて。

俺達は縛られ、命を聞くことを強要される...!』




苦しげな、憎々しげな、
声を荒らげないよう必死に抑えた声は
シンとした俺たちに響いた。



『ずっと、ずっと。
道具として、いい様に扱われた。

そこから、救ってくれたのが咲だ。

九尾だって、キヨだって、琴だって...
以前は道具として扱われた。』