「春!お待たせ~っ」勢いよく扉を開けると、
ベッドの上で笑う春人と看護師の姿が。

「ほら、お前がうるさいから。」音緒が看護師に
軽く会釈をし、澪にも会釈させる格好をとった。

「ううん。相変わらず、春人くんの友達は賑やか
だなぁと思って、つい…」若い看護師は言う。

「看護師さんにね、澪の話をしてたんだ。
絶対、澪が一番に部屋に入ってきますよって」
案の定、その通りで2人は笑ったらしい。


看護師が出て行くとくだらない話が盛り上がる。

大半が澪のバカっぷりを話すだけ。
それだけで誰もが笑うのが不思議で、澪は逆に
頬を膨らましている。

「みんな、変わらないね。凄く楽しいよ」春人は
そう言って、優しい笑顔で笑った。

「…当たり前だ」
口下手な波崇が言った一言が力強さを増した。

変わらない。何も。
良い意味でも、悪い意味でも変わらなかった。

ただ、今の瞬間は幸せ。
それを味わえるならそれでも良いと思えた。