「ヤバっ…私惚れちゃったかも!」女は言うと
澪に腕を絡ませ、寄り添ってきた。

「学生が何、女遊びしちゃってんの?」その様子
を見つけた柄の悪い男達が2人を取り囲む。

「生意気だよな、最近のガキは!」男は言い捨て、
2人が澪へ殴り掛かり、1人は女を標的にした。

それなりに喧嘩慣れはしているが、相手が3人
で女を庇いながらじゃ、かなり分が悪い。
相手もそんなに強くない…と思った矢先、1人に
背中を取られ、羽交い締めにされてしまった。

「そんなにヤリてぇなら、俺が相手してやるよ」
色黒の男がいやらしく笑い、思い切り壁に身体
を打ち付けられた。

必死に抵抗しても1人が肩を押さえ、身体の自由
が全く利かない。男は笑い、容赦無く首筋を
なぞるように舌を這わせ、息を荒くした。

身体中に走る違和感と嫌悪感に気が狂いそうで
どんなに肩を抜こうとしても余計、男の手の力で
肩が砕けてしまいそうだ。

「何をしてる!」その時だった。
女の悲鳴が聞こえたのであろう、警官が現れ
男達はヤバいというように一目散に駆け出した。

解かれた澪も女の腕を掴んで、その場から逃れた。


2人は路地裏に逃げ、澪はそこに倒れ込む。
女は何も言わず、逃げるように去っていった。

思わず、音緒に電話して迎えに来てと頼んだ。
1人じゃ身体中痛くて、歩けそうにない。

震えが止まらない。痛い。嫌だ…
さすがに弱気で泣き出してしまいそうだった。